夏の空を仰ぐ花
本当はバスケを選択する気なんて無かったのに。


これっぽっちも無かったのに。


野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール。


球技大会は、その4種目から選択できる。


でも、さっきのホームルームで、あたしは完璧に惨敗してしまった。


ジャンケンのトーナメント戦で、あたしは敗北した。


希望が打ち砕かれた。


それはもう、こっぱみじんに。


初戦敗退したあたしが選択できるのは、バレーとバスケのどちらか一方だった。


走り回らなくて済むバレーは思いのほか人気が集中し、敗者復活戦でも敗退したあたしにはもう、選択の余地はなかった。


バスケットボール。


結衣も明里も同じだった。


うちらは3人仲良く、負け組になった。


ちくしょう。


本当は、野球が第一希望だったのに。


このあたしとした事が。


恋は、先手必勝だというのに。


ジャンケンごときで敗北してしまうとは。


これは……ノストラダムスの嫌がらせだ。


きっとそうだ。


そうに違いない。


ノストラダムスめ。


こんにゃろう。


今に見てろ。


絶対、ギャフンて言わせてやるんだから。


覚悟しろ。


「えっ、千穂、野球なんか選択したの?」


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