夏の空を仰ぐ花
「夏井響也っていうのか……あいつは」
もう、そこには居ないのに。
ひとだかりの中、あたしは夏井響也の姿を必死に探していた。
「おい、翠!」
結衣に肩を叩かれた時にはもう、すでに時遅し。
落ちるとこまで落ちてしまっていた。
「翠って! どうした、翠!」
ハ、と我に返った時にはもう、手遅れだった。
どう足掻いても抜け出せないところまで、落ちていた。
突如出現した落とし穴にストンと落ちて。
深い深い、ぬかるみ。
そこは、恋の底なし沼。
足掻けば足掻くほど、深みにはまっていく。
「結衣」
「あ?」
あたしは、キョトンとする結衣をじっと見つめた。
「あたし、もう落ちるとこまで落ちたらしい」
「は?」
「だから、もう手遅れだ」
「はあー?」
「あたし、好きな人ができた!」
結衣が目をぎょっと丸くして、
「……は……?」
口もまんまるお月様みたいになっていた。
我が親友よ、なんつうアホ面なんだ。
「あたし、恋をしたのだ!」
ほれ、とあたしは掲示板のその名前を指差した。
結衣がその名前をじっと見つめる。
もう、そこには居ないのに。
ひとだかりの中、あたしは夏井響也の姿を必死に探していた。
「おい、翠!」
結衣に肩を叩かれた時にはもう、すでに時遅し。
落ちるとこまで落ちてしまっていた。
「翠って! どうした、翠!」
ハ、と我に返った時にはもう、手遅れだった。
どう足掻いても抜け出せないところまで、落ちていた。
突如出現した落とし穴にストンと落ちて。
深い深い、ぬかるみ。
そこは、恋の底なし沼。
足掻けば足掻くほど、深みにはまっていく。
「結衣」
「あ?」
あたしは、キョトンとする結衣をじっと見つめた。
「あたし、もう落ちるとこまで落ちたらしい」
「は?」
「だから、もう手遅れだ」
「はあー?」
「あたし、好きな人ができた!」
結衣が目をぎょっと丸くして、
「……は……?」
口もまんまるお月様みたいになっていた。
我が親友よ、なんつうアホ面なんだ。
「あたし、恋をしたのだ!」
ほれ、とあたしは掲示板のその名前を指差した。
結衣がその名前をじっと見つめる。