夏の空を仰ぐ花
――翠は、おれの、太陽だから


彼は青を仰ぐ。


両手を広げて、夏の空を仰ぐ。


フェンスの横に咲く、大輪の花のように。


――翠


この恋は薔薇のように艶やかじゃなかったし、百合のように艶やかでもなければ。


カスミ草のように慎ましい恋でもなかった。


でも、とにかく暖かくて、静かで、眩しくて。


優しさに包まれていた。


――翠!


そうだ。


あの夏の空を仰ぐ、ひまわりのような。



健気で、ひたむきな、夏の空を仰ぐ花のような。



たおやかな、恋でした。






――――――Fin...





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