夏の空を仰ぐ花
あたしが、補欠に恋をしていること。


夏井響也にメロメロのけちょんけちょんだということを。


確かに、完璧にバレバレだと思う。


あたしは基本的に、オープンマイハートだからだ。


隠すつもりなんて端っからない。


別にバレてもいい。


だって、まじで惚れてるからだ。


隠す必要なんかない。


だって、本当のことだからだ。


隠したって、良いことなんかひとつもない。


「でも、響也の鈍感は世界一かもな」


光貴がニタニタ笑う。


そうだ。


そこが、問題のひとつなのだ。


「翠の態度見れば、誰だって分かるようなもんだけどな」


そう言った光貴の親友である加賀大輔(かが だいすけ)が、ウムウムと腕組みをして頷いた。


「気付いてないのは、響也くらいだな」


まさに、まさにその通りなのだ。


あたしはこの通りガサツで可愛げの欠片もなくて。


A型のくせにおおざっぱな性格で、気性が荒い。


隠し事が一番嫌いだ。


だから、どっちみち、必ずやいつかはバレてしまうだろう。


それなら、端っからオープンマイハートにすることにした。


なにせ、後が楽だ。


好都合なのだ。




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