夏の空を仰ぐ花
みんながこぞって大輔に圧力をかけていた。


み……みんな。


「エビバデセンキュー!」


あたしはビヨーンと跳ねて、両足で着地した。


「でも、不思議だよな」


と大輔がふに落ちない様子で、柔らかそうな髪の毛をわしゃわしゃと掻いた。


「このクラスのやつらって、なぜか翠の味方ばっかなんだよなあ」


「当たり前じゃない」


いつもは内気なあっこが、大輔の背中をペシッと叩いた。


大輔の背中がしゃんと伸びる。


「だって、ここまで真っ直ぐだと、もう応援したくなっちゃうじゃない」


あっこ……。


「もう、こうなったら意地でも幸せになって欲しいもん。夏井くんと」


ふうん、と大輔がまあるい息を落とす。


「女って、よく分かんねえなあ」


そう呟いた大輔の手を、あたしはがっしりと掴んだ。


「大輔!」


「なっ……なに」


「ほんっとにまじで、ミラクル感謝!」


「どういたしまして」


大輔がふっと笑った。


「ただし、条件付きだけどな」


と今度は何か企んだようにニタついた。


「条件? ふん、何だ、言ってみな」


「購買の焼きそばパン、5個でどうだ」


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