夜空に溶けた想い
side 椿
あれは、十年前の私の誕生日。
近所に住んでる幼馴染の彼方が私にストラップをくれようとした。
私の好きな月のストラップ。
くれた時、つい『ださっ。』って言っちゃった。別にそんなダサくなかったけど。照れ隠しみたいに。
そしたら彼方は
「…じゃ…じゃあ返せよ…」
なんて言ってくるし。
そりゃ私が悪いのは分かってるけど。
なんか悔しくて。
無言で私の前に突き出された彼方の手に返した。
そして家に帰ったんだ。