原石のシンデレラ
「――お断りします」


キッパリと即座に決断した私は、真っ直ぐに炉惟の瞳を見て、正直に答えを出した。


「――何故ですか。ゆっくり考えてから答えを出しても、遅くは無いのですよ…」


「いいえ。私のような人間が、このように立派なお屋敷に住むなんて……」


今まで炉惟に甘えてばかりいて、私には何も出来ないでいる自分が惨めになるばかりである。


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