原石のシンデレラ
「――分かりました。…貴方が、そんなに世間体や自分の立場を気にするのなら、僕も真剣に考えて最終手段を選ばなければいけませんね」

「…………」


――え、最終手段って…


「……雪詩さんが僕の婚約者になれば、世間体を気にすることなんかありません」


ゆっくりと目を開いて、私を見つめる炉惟の口から漏れた言葉の意味が、一瞬分からずにいた。


……というか、信じられなかった。


――これが夢だと、いや…夢であって欲しいと切に願った。





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