原石のシンデレラ
「――驚かせてしまいましたか、すみません」

パジャマ姿の炉惟が薄いセーターを羽織りながら、私の傍へとやってくる。


「炉惟さん……」


「眠れるまで、僕が話相手になりますよ」


部屋へと戻りベッドに入ると、炉惟は近くにあった椅子を持ってベッドの傍へと置いて腰かけた。


「――笑わないで聞いて下さいね。……私、怖かったんです」


「怖い…?」


「……この広い部屋で、眠るのが怖くて」


恥ずかしくなって俯く私の姿に炉惟は、ソッ…と頭を撫でると優しく答えた。


「笑うだなんて、とんでもない。僕はそんなことはしませんよ」


「…………」

「安心して眠って下さい」

私は、思わず炉惟の手を握って呟いていた。


「――でも、炉惟さんは私が眠ってしまったら、居なくなるんでしょう?………独りは嫌です…」


何だか心細くなってしまい、私は無意識のうちに弱音を吐いていた。


< 117 / 197 >

この作品をシェア

pagetop