原石のシンデレラ
雪詩の初恋
――――
―――


「――着きましたよ」


車のドアを開けてくれて、じぃやは私に声をかけてくれた。


「じぃや、ありがとう」


目の前に住み慣れたアパートが目に映り、炉帷さんの住むお屋敷と比べてしまって、何となく溜め息を吐いた。


比べなくても雲泥の差があるのは理解してるはずなのに。――馬鹿な私。


「―――では、失礼致します」


じぃやが会釈をして車の中へ乗り込み、静かに進んでいく姿を私は遠くへ見えなくなるまで見つめていた……。


――――
―――


《――ジャリ…》

「……あれ、雪詩じゃないのか??」


ふいに名前を呼ばれて振り向くと、背の高くて若い男性が、サミット袋持って嬉しそうに笑みを浮かべていたが、サッパリ私には心当たりが無かった。


――誰…??


親戚ではないのは確かだし……
高校の先輩…でもなさそうだし……



困惑して不信感丸出しで睨み付けていると、若い男性が笑みを絶やさずに話かけてきた。


「あれ、俺のこと忘れちゃったの??――《冬真(トウマ)》だよ」


「――とうま………冬真お兄ちゃん??」


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