原石のシンデレラ
「お、お兄ちゃん……。」


「どうした、雪詩」


――やめて、耳元がくすぐったいよ。集中出来なくなる。


「…――ッッ!痛ッッ」


「大丈夫か!?」


案の定、手元が狂って指を怪我してしまった。


「だ、大丈夫だよ。確か向こうにサビオがあったはず……――!?お、おにぃちゃッッ…」


「いいから、大人しくしてろ」


とっさに腕を掴まれたと思ったら、怪我した指を舐めだした。


冬真の舌の生暖かい液体が、指先の痛みを和らげてくれる。


…何故か気持ちが良い。


「………――んン…」


思わず我慢出来なくなり、小さい声が漏れると、冬真は顔を上げると口元を緩ませた。


「指先、舐めただけなのに――感じちゃった?」


一気に顔が赤く染まるのが分かる。


「違――!!……ッッ」


突然に口を塞がれたかと思ったら、今度は舌が口の中へと侵入して、私の舌に絡みつく。


「――ぁ……ッッ」


唇の間から、甘く、いやらしい声が小さく漏れると、更に私は顔を高潮させた。


――キスって、こんなに甘ったるいんだ。

ボーッとする頭の中で、ボンヤリと思っていた。



< 140 / 197 >

この作品をシェア

pagetop