原石のシンデレラ
そんな言い返さない炉惟に、雪詩はショックを受けていた。
本当は言い返して欲しかった。『違います』って……。
――今まで優しくしてたのは同情だったの?
――炉惟さん、貴方は……私を不幸だと、可哀想だと哀れみだけで傍に居てくれていたの?
――本当は好きではなかったの?。。
自然と頬から涙が伝い落ちる。
「雪詩…」
「炉惟さん安心して。私のこと無理して同情しなくても大丈夫よ。……私、冬真お兄ちゃんと、お付き合いすることに決めたから――。」
「……ッッ!雪詩さん」
「………今まで、ありがとうッッ……」
走り出した雪詩を止めようと、炉惟も駆け出したが、冬真に止められた。
「雪詩さ……ッッ!」
「……今のお前には、雪詩を幸せになんか出来ないッッ」
そう言って冬真は走り出す雪詩の後を追いかけていった……。