原石のシンデレラ
「炉惟……私、ずっと待ってるから。」


ポツリと呟いたエリーゼの声が、炉惟の耳にはハッキリ聞こえたものの、何も言わずに歩いて行った――。



そして静まり返ったホールに行くと、真ん中に立ち止まり、ボンヤリと高い天井を見上げて溜め息を吐いた。


「――坊ちゃま…。」


不意に背後から、声が聞こえてきて振り向くと、凛々しい眉毛を情けなく下げたじぃやの姿があった。


「……じぃや――。どうしたんだい。そんな顔をして…」


「私は坊ちゃまが生まれてから18年間、見守り続けて来ました……。坊ちゃまが遠くへ行ってしまうのは寂しいです。――ですが、それは仕方のないことは承知の上です。」


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