原石のシンデレラ
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―――


「……着きましたよ。」




じぃやの言葉に、炉惟は左側にひっそりと佇むアパートを見やり、目を細めた……。



(雪詩さんの住むアパート……、久しぶりに拝見した。)


もう2度と会わないと…会えないと思っていたはずなのに。



それが今、目の前にある――。



手を伸ばせば、届きそうな距離に……。



炉惟はゴクリと喉を鳴らして、自分の感情を必死に抑えた。


そうでもしなければ雪詩を見た途端に、抱きしめてしまいそうな気持ちにかられたから。




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