原石のシンデレラ
…衣装部屋に入ると、20畳くらいあるであろう広さと奥行きがあり、そして何より驚いたのは、それだけじゃなかった。

100着…いや、それ以上ありそうなドレスに洋服、そして靴。アクセサリーが置いてある。

「素敵…着せ替え人形になった気分だわ」

例えが悪いような気がしたけれど、凡人なのだから仕方ないと思う。

「雪詩様、ご自分がお気に召した洋服やドレスをお選び下さいな。」


メイドがニコリと微笑むのを見て、私はキョトンとした。


「ーあれ…?メイドさんが、洋服を見立ててくれるんじゃないんですか?」

不思議そうに、私は首を傾げた。


「いえ…出来れば、雪詩様のお気に召した洋服の方が良いかと思いまして…」


「ありがとうございます♪優しいんですね」

私はニコリと笑顔を返すと、メイドはホッとしたような表情を見せた。


「やっと笑ってくれましたね」

メイドの一言に、私は洋服を選ぶ手を止めて、クルリと振り向いた。

「え、そうですか?」


「ー先程まで、表情が硬かったものですから…」


……確かに、さっきまで急展開に色々と物事が進んで行ったせいで、自分自身、緊張して、上手く笑えて無かったのかも知れない。


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