原石のシンデレラ
無言で、扉の方へ向かおうとする雪詩の腕を掴んできた。


「ーー雪詩さん」


雪詩はクルリと振り向き、なるべく明るく振る舞い微笑んだつもり。


「炉惟さん…今日は、とても楽しかったです。素敵な1日をありがとう…」


「雪詩さん!?…僕の話を聞いて下さい」


《…ガチャ…パタン》


追いかける前に、虚しく扉の閉まる音が響き渡る。


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