原石のシンデレラ
「……3年前に最愛の妻を亡くしてから、1人なんだよ」


グラスを布巾で拭きながら言葉を続けるマスターに、胸がキュッッと締められる思いがした。

雪詩は自分の拳を膝の上で握り締め、小さく深呼吸して口を開く。


「ーー私も…大事な人を、両親を亡くしました。事故で……だから、私も1人です」

顔を上げるとマスターが複雑な表情で私を見つめる。…その目にはうっすら涙が浮かび上がってるようにも見えた。


「…お嬢さん、いくつだい?」

「ーー17歳です。」


「そっかー…」


マスターは俯き気味に、一言呟いてから、それ以上の言葉は返って来なかった。




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