原石のシンデレラ
「……な、な、何だ…キミは!?」

広戸が腰を抜かした状態で、見上げるように炉惟を見つめている。


頬には殴られた後がハッキリ痣が残っていて口元も切れて血が少し出ていたが、雪詩は同情しなかった。


「ーーレディの唇を無理やり奪おうだなんて、野蛮ですね。あまり関心しませんよ…」

広戸は顔を赤らめて、唇を噛む。

「……だ、だからって何なんだよ!?キミには関係のないことだろ!?」ーー怒りに任せて、早口でまくし立てる。


「ーー関係ない?…いいえ、これが関係あるんですよ。僕は、雪詩さんが好きですから」


「ーーッッ!?な、な、」

目を見開き、パクパクと口を動かす広戸。ーーそして雪詩はポカンと口を開けていた。

「ーーさ。行きましょ、雪詩さん。じぃやが待ってますよ」


コクンと縦に頷くと、背後から間抜けな声が聞こえてきた。


雪詩はピタリと足を止めて振り向き様に、広戸に、こう言ってやった。


「最低ですね…」



「…ゆ、ゆきしちゃぁぁ〜んッッ」






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