黒猫劇場
 別に、ヴァイオリンが嫌いな訳じゃない。
 いつまで経っても上手に弾けなくて、同時期に習い出した子達がどんどん先に行ってしまうのを見ると、孤独感に襲われてしまうのだ。

 でも……、
 本当にそうなんだろうか?
 僕はいままで何のためにヴァイオリンをやっていたんだろう?

 ママに叱られた後、僕は窓辺で夜空をぼんやり眺めながら、そんなことを繰り返し繰り返し、考えていた。けれど、満足のいく答えは浮かんでこなかった。僕は眠気に襲われ夢の中に引きずりこまれるまで、そのことばがり考えていた。

 おかげで今日は朝から眠くて堪らない。
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