黒猫劇場
僕は人込みを上手くすり抜け、急いで近道の小径に入った。
赤茶けた煉瓦畳。
その先の入り組んだ狭い路地裏に入る。
半分はたたまれてしまったが、お店の玄関口が至る所で僕に顔を向ける。
花屋、洋菓子屋、酒屋。
そして――、探偵社。
路地裏の先の細い階段の側で人影が見えた。派手なかつらで分かった。
探偵社のアレグロ氏だ。
彼によると、探偵の技量はかつらが全てらしい。そのせいで、毎日見たことの無いかつらを被っては、みんなを驚かせている。
アレグロ氏の家系は代々探偵で、かなり腕利きが揃っている。いまも遠い町の大金持ちの屋敷の専属探偵を務めているらしい。
ただ、容姿があまりに浮世離れしているため、みんなからは煙たがられる存在だ。
学校に入る前、僕がアレグロ氏に弟子入りしたいとママに申し出たら、真っ赤な顔をして反対されてしまった。
仕方なく、いまは内緒でアレグロ氏のもとへ通い探偵指南を受けている。
赤茶けた煉瓦畳。
その先の入り組んだ狭い路地裏に入る。
半分はたたまれてしまったが、お店の玄関口が至る所で僕に顔を向ける。
花屋、洋菓子屋、酒屋。
そして――、探偵社。
路地裏の先の細い階段の側で人影が見えた。派手なかつらで分かった。
探偵社のアレグロ氏だ。
彼によると、探偵の技量はかつらが全てらしい。そのせいで、毎日見たことの無いかつらを被っては、みんなを驚かせている。
アレグロ氏の家系は代々探偵で、かなり腕利きが揃っている。いまも遠い町の大金持ちの屋敷の専属探偵を務めているらしい。
ただ、容姿があまりに浮世離れしているため、みんなからは煙たがられる存在だ。
学校に入る前、僕がアレグロ氏に弟子入りしたいとママに申し出たら、真っ赤な顔をして反対されてしまった。
仕方なく、いまは内緒でアレグロ氏のもとへ通い探偵指南を受けている。