黒猫劇場
 かつらと探偵業。

 正直な所、それは先生の早口の聞きづらい喋り方だったり、妙に浮世離れした思考とか、そういったものより遥かに納得しかねる所だ。

 ただ、少し前に先生の書斎を掃除していた時に見つけた日記でちょっとだけ理由が分かって来た。それは可哀想に、先生お気に入りの音楽再生機に踏み台にされていた。

 日記のタイトルは、「かつらの必要性」

 なんとも立派なタイトルだと思った。

 それは、一章から三十章まであり、ちょっとした長編小説のようだった。先生に見せると、快く貸してくれたのだが、余りに酷い戯曲調で疲れてしまい、まだ数項しか読んでいない。

 ただ、かつらにより危険を免れた、というようなことが書いてあった。

 きっと、それが理由なのだろう。
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