あんたは俺の嫁!
「と、とりあえず、あんたの名前教えなさい。話はそれからだ」

「なんの話だよ……。大体、なんで名前なんて教えなくちゃいけないわけ?」

「友達になりたいから。だってこんな恰好してたら、またいじめられるでしょ? だったらあたしが助けてあげる」


速足で、逃げるように前を行く"ヤツ"。
それをあたしは追いかける。


「いいよ、そーいうの」

「ちぇっ……。でも名前だけは教えて! クラス違うでしょ? また会いに行く!」

「いや、クラスおんなじだし」



え……?



「うそうそうそ。あたし知らないし、あんたのこと! 4月から一ヶ月たってるけど知らないし!」

「俺はお前を知ってた。いつもメロンパン食べてる奴」

「えぇぇぇ……。そんなぁ……」


ちょうどいいのか、わるいのかは知らないけど学校についてしまった。
あたしとこいつの組み合わせが面白いのか、じろじろと見ていく人がいる。



「そんなに知りたい?」

「申し訳なさすぎて知りたいです……」

「じゃあ……」






ちゅ、と軽いキス。
こいつの前髪がふわっと揺れて、さっきのイケメン顔がまた見えた。
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