お化け屋敷の住人
「篠宮の席は、廊下側の一番後ろの席だ」
「はい」
担任の先生はそう言いながらその席を指差した。
わたしは静かにそこに向かって行き、席に着く。
やっぱり誰も反応を示さない。
隣りの席の男子すらわたしと目を合わせなかった。
そうやって誰とも一言も話さないまま1日の授業を全て終えて、わたしは帰ろうと席を立った。
「篠宮!」
帰ろうとすぐ後ろのドアに振り返った時だった。
そこには担任の先生がいた。
「はい?」
「放課後は中間テストまで毎日補習だから帰るなよ」
「え?」
「当たり前だろ。1ヶ月も学校通ってないんだから」
「あー…、はい」
帰りたかった。
こんなつまんない学校すぐにでも出て、家に帰りたかった。