お化け屋敷の住人
そんな事を考えてる矢先、フッと真の視線がわたしに向けられた。
いや、実際わたしを見てるかどうかは分からない。
バス停は横断歩道から数メートル離れた位置にある。
そのバス停でバスを待っているのはわたしを含め、5人。
その最後尾にわたしはいる。
だからハッキリとわたしを見ているかは分からない。
だけど真はこちらを見つめながら横断歩道を渡ってくる。
―――けれどそれはほんの数秒足らずの事だった。
真は何事もなかったかのように再び前を見据え、横断歩道を渡りきると、わたしがいる方とは反対の道に曲がり人混みに紛れて消えた。
「……なにアレ」
わたしには誰にも聞こえない程の小さな声で呟く事しか出来なかった。