お化け屋敷の住人
大翔の視線が初めてわたしに注がれる。
その目はどこか力強さを感じた。
「…話す事は、何もない」
「……」
大翔はただ黙ってわたしを見つめた。
本当に話す事は何もない。
何を聞かれてるのかさえ分からない。
そんな張り詰めた空気がわたしと大翔の間に流れている時でも、ギャアギャアと幼稚な口喧嘩は続いていた。
「あんたに聞かなくてもその内分かる事か」
大翔は独り言のように呟いた。
そしてわたしの腕を離した。
行ってもいいって事?
わたしがその腕を見つめていると大翔は一言「行け」と言った。
だからわたしはそれに従って教室へと歩き出した。
―――それがこの3人との初めての出会い。