お化け屋敷の住人
Ⅲ真とわたしの不思議な関係
進路希望調査
「ちょっと待ちなさい」
放課後、毎度の補習が終わって帰ろうとしたら担任の先生に引き止められた。
いったい何だろう?
そう思っていれば先生は一枚の紙をわたしに手渡した。
それはわたしがこの間提出した“進路希望”の用紙だった。
「保護者のサイン貰ってないぞ」
「保護者のサイン?」
「ああ、ここに。サインがないと受け取れない」
先生は用紙の空欄部分を指差す。
でもわたしは空欄のままになっている事をわかっていてそのまま提出した。
だって今のわたしには保護者はいない。
「わたし、保護者いませんから」
「そんな訳ない。ちょっと待てよ」
そう言って先生は何やら持っていたファイルを開いてパラパラと捲る。
「篠宮の保護者は……。あったあった。“飛龍真”という方だ」
「真?」
「わかったらちゃんとサイン貰って来るんだぞ」
「……はい」
真がわたしの保護者?