お化け屋敷の住人


「わたしのためなのかー」


真の照れてるところなんてそうそう拝めない。

だから真をからかってやろうと、しつこく言ってみた。


「んで進路がどうしたって?」


なのにあっさりかわされてしまった。

なんだ、面白くない。


「この紙にね、保護者のサイン貰ってこいって」


その場所を指で差すと、真もそこに目を向けて、わたしに手を出してきた。


「……なに?」

「ん」


そう言って右手を上下に揺らす。

えーっと、なんだろう?


「ん?」

「アホか」

「なんだって!?」

「だからおまえはアホかって言ってんだよ」

「アホじゃない!」

「だったらさっさとペン出せ」

「……!」


わたしはアホです。

サインしてくれと言っておきながら、ペンを用意するのを忘れてた!


「今すぐ持ってくる!」

「用意しとけよ」


わたしはダッシュで自分の部屋にペンを取りに行って、ダッシュで居間に戻ってきた。

戻ると何やら真の様子がおかしかった。

進路希望の用紙を食い入るように見つめている。





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