お化け屋敷の住人
3年生の教室は下駄箱から若干の距離がある。
その間わたしの隣を歩く真はすれ違う生徒、女子も男子もほぼ全員に注目されていた。
当の本人は素知らぬ顔。
きっとこういう視線に慣れてるんだろうな。
「ここだよ。教室」
教室の後ろ側のドアを開けると、中にはまだちらほらとクラスメイトが残っていた。
ドアを開けて一番近くにあるのがわたしの席だ。
その隣の席の三崎もまだ残って帰る支度をしている。
わたしがドアを開けたことで三崎はこちらを見た。
三崎はわたしに視線を向けたあと真の顔を見ると眉間にしわを寄せすぐに視線を逸らした。
睨んだようにも見えてびっくりした。
だって三崎がそんな顔をしたのを初めて見たから。
「三崎?」
わたしは様子のおかしな三崎に声をかけずにはいられなかった。
「ん?」
三崎は振り向くことなくカバンに荷物を詰め込んみながら返事をした。
「なんかあった?」
「なんか?別にないけど」
「……ないならいいんだけど」
「そう」
三崎はカバンを肩にかけると
「じゃあ帰るね」
そう言いながらわたしに笑顔を向けて教室を出ていった。