お化け屋敷の住人


わざと泣かそうとしてる。

真の企みは分かってる。

だけどダメだ。


溢れる。

溢れる。


下を向いたら涙はあっさりわたしの足の上に落ちた。

ポタリポタリ、ズボンにまあるい染みをいくつも作る。


―――あーぁ。泣いちゃった。

これでわたしは一生弱虫の泣き虫だ。


するとさっきからわたしの頭を撫でていた真の手がわたしの後頭部に回ったかと思ったら、グッと引き寄せられた。


「っ!」


真の胸が目の前にある。

わたしは思わず真の腰当たりの服を掴んだ。


何!?

何何!?

何か分かんないけど…。


いい匂いがする!



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