お化け屋敷の住人
「くすぐったい」
頭の上から真の声がした。
「へ?」
“何が?”と訊こうと思って顔を上げようとしたら、真の手に力が入ってわたしの後頭部を押さえつける。
う、動くなって事ですね?お兄さん。
「スリスリするな。髪の毛がくすぐったい」
「してないよ!」
するか、そんな事!
「してんだよ。鼻をフガフガさせながら」
「フ!フガフガだと!?」
「匂いを嗅ぐな」
「におっ!?……匂って悪いか!」
「…開き直るなよ」
フーッと真の鼻息がわたしの頭に当たる。
呆れられてる。
だけどおかげで泣いてた事なんて忘れてた。