お化け屋敷の住人
わたしは意を決して塀をくぐり、玄関扉の横のチャイムを鳴らした。
…ん?鳴ってない?
ピンポーンともビーとも言わない。
おいおい、壊れてるよこのチャイム。
仕方がないから扉をガシャンガシャン叩いた。
引き戸のそれは思いのほか大きな音を起てる。
「ごめんくださーい…」
いやいや、そんな小さい声じゃ聞こえないだろ。
勇気を出すんだ。
お化けなんてないさ!
「ごめんくださーい!」
お、お化けなんて嘘さ…。