blue tears love ~僕等の秘密~
「どうしたんだよ」


「ほっといて…」


倉庫の裏から男女の言い争う声が聞こえた。手の甲で急いで目のまわりを拭う。



「どうしてみんなと一緒にやれないんだよ。学園祭だって高校生活の思い出になるんだぞ…」


「思い出?そんなものいらない。それにみんなって何?私は私。やりたくないものはやらない」


「どうしたんだよ。前はこんなんじゃなかったじゃないか…」


「どうした。どうしたばっかり。私はどうしてもない。ただ…」


「ただ?じゃぁ、ルカは何をしたいんだよ」


「言ったら聞いてくれる…水族館に行きたい。和樹と一緒に…今から…」


「なんだよ、今からなんて無理に決まってるだろ…。それに学校では先生ってう呼べって言ってるだろ…」



「ほら、やっぱりだめなんでしょ。私の言うことなんて…」


「だめなんて言ってない、ただ…」



携帯の着信音が鳴った。


「それ、原先生からの呼び出しでしょ。出ないで、お願いだから…」


「…もしもし…うん、大丈夫…ちょっとな…すぐ行くよ」



「ルカ…皆も心配している…一緒に戻ろう…」


「もういいです、川崎 せ・ん・せ・い」


彼女の声はだんだん大きく、そして涙声になって聞こえてくる。


「どうせ私のことなんかどうでもいいんじゃない。和樹は原先生の方が大切なんでしょ。もう、行ってよ…」


「ルカ…待ってるからな…」


川崎先生は彼女だけを残し校舎へ向かって行った。


「ばーか、待ってるわけないくせに」


…ルカ…川崎先生…って…



まさか  僕はそっと倉庫わきから顔を出した。
< 36 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop