クローゼットチャイルド
カタカタ 小さくカップと皿がぶつかり合って音を立てる。
シナモンスティックをぐるぐると回して、底の見えないミルクティーは渦を巻く。
シナモンの香が少し強くなった気がした。
「続き、気にならないの?」
「…休憩。」
ほんのりと甘い香の香りと、静寂。
「別に怖い話じゃないよ?」
「……」
「意見を聞きたいだけ。」
恐ろしい何かがあるのか、それは貴方のイメージ次第。
だけど、何をそんなに怯えるの?
「別にビビッてねぇーし。」
シナモンスティックを持ち上げて、一つ大きく息をつく姿を見届けて。
「あ、それ…噛んでもただの木の枝だからね?」
予想通りにシナモンスティックを口に運んだ彼に忠告した。
ガリっ 
「味はないよ」
「知ってる。ただやってみたかっただけ。」
とりあえず、それを皿に置いた。

「ねぇ、どんな味を期待した?」






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