プラスのちマイナスのちプラス(仮)
「凛ちゃーん、お勤めご苦労様でした!」
そう言って佐藤奏は私のカバンを持つ。
「…一緒に帰らないから」
「えー、いいじゃん!手が空くんだよ?」
「空けた手で何をしろと?」
「うーん、手を繋ごう!」
「カバン返して。」
そんなやりとりをしながら下駄箱へ向かっていたとき。
「あ、あのっ…、佐藤くん、ちょっと…いい、かな?」
かわいい女の子がこっちを見ていた。
佐藤奏と私を交互に。
「あー…」
佐藤奏は困ったような声を出す。
「どうぞ。」
「ちょ…凛ちゃん!」
「パシリなら言うこと聞きなさい。行け。」
「なんで!」
だって。女の子が待ってるでしょ。
私なんかよりかわいい子が。
「いいから。行って。」
「…じゃ、教室で待っててよね。」
そう言って佐藤奏は女の子とどこかへ行った。