プラスのちマイナスのちプラス(仮)



「…ちゃん?凛ちゃん?寝てんの?」

「…佐藤、奏。」

「うん、お待たせ。帰ろう。」

どうやら私はあのまま
教室で寝てたらしい。



「…あの子は?」

「なに?気になるの?」

気になる、けど。

「別に。遅かったなと思って」

そんなこと言えない。



「…なんかね、好きって言われて。断ったら泣いちゃって。ごめんね、待たせて。」

「…カバン、待ってただけ。佐藤くんは待ってない。」

「うん、それでもごめん。」

そう言って佐藤奏は私の隣の席に座る。
良かった…付き合わなかったんだ…


「…なんで断ったの?」

「それ聞く?言ったよね、俺、凛ちゃんが好きだって」


そう言う佐藤奏はちょっと不機嫌で。
初めて見る顔に少しドキッとする。

「……うん」


「凛ちゃんこそ。なんで断ったの?俺の告白」

私と同じ目線になった佐藤奏の整った顔に、思わず私は目をそらす。

「だって、佐藤くんのこと知らないもん」

「今も?」

「今は、ちょっとは知ってる…けど」

「…けど?」

キレイな目が私に答えを催促する。


「………佐藤くんは、モテるでしょ」

「そんなの関係ないでしょ」

「っそれに!わかんないんだもん!どうして私のこと好きって言うのか、わかんないもん!」


そう、わからないの。
どうして好きなのか。




< 12 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop