プラスのちマイナスのちプラス(仮)

「一目惚れ、ってしか、知らないもん」

つまりは顔？顔が好みってこと？


「私の中身知らないのに、好きって言われたって、私、応えられない」

「…そっか、なんだ、そんなことか」

「そんなことじゃない！」

大事なことだよ。とても。


「ごめんね、俺の言葉が足りなかった」

さっきとは違って、今度は優しい目で私を見てくる。

「一目惚れって、別に顔が好きとかじゃないよ」

「…え？違うの？」

「うん、なんていうか、雰囲気かな？もちろん外見も可愛いと思うけど、凛ちゃんの雰囲気にビビッときて、こんなの初めてで。運命かなーって」

「…雰囲気？」

「そう。凛としてて、透き通ってて。名前の通りの子だなって。それに…」

「それに？」

「多分、凛ちゃん、人見知りでしょ？入学式の日さ、不安そうにしてて。俺が挨拶したら笑ったの。覚えてる？」

「……覚えてない」

「それが本当かわいくて。恋に落ちたわけです。」

「っでも！私、愛想ないし、佐藤くんならもっと良い子が…」

「俺愛想振り撒く女って嫌いなんだよね。それにみんなは凛ちゃんのことクールとか言うけど、俺、凛ちゃんは優しいって知ってるから」