プラスのちマイナスのちプラス(仮)
「ごめん、友達なのに抱きしめるとか、嫌だよね」
そう言いながらも
抱きしめる腕はどんどん強くなる。
「…でも、我慢できないよ。あんなに可愛い顔で〝ありがとう″なんて。」
佐藤奏が私の耳元で話すから。
ドキドキが加速していく。
「…好き、凛ちゃん、好きだよ」
絞り出すような声で囁かれて
さらに加速するドキドキ。
「誰にも、渡したくない」
それに負けないくらい伝わってくるドキドキ。
「…凛ちゃんは俺のこと、どう思ってるの?」
少し声が曇る。
いいかな。
好きって言って、いいよね?
佐藤奏は信じられる。
ちゃんと私を見てくれる。
素直な気持ちをぶつけてくれる。
何より。
私だって、誰にも渡したくない。