プラスのちマイナスのちプラス(仮)
「それにしても」
私が口を開くと佐藤奏が首を傾ける。
風邪のせいでいつもより目が熱っぽい。
「雨の中走ったり、熱あるのに学校来たり、何してんのよ」
心配、かけないでよね。
「……だって」
少し間を置いて、ポツリと話し始めた佐藤奏は
「凛ちゃんが俺を避けるから」
悲しそうに笑う。
「ピンチなのに休んでられないでしょ?」
胸の奥が、ぎゅっとなる。
「…ごめんね、避けたりして」
「避けてたの、認めるんだ」
そう言って笑ったと思うと、今度は急に真剣な顔になった。
「ところでさ、さっきの話だけど」