プラスのちマイナスのちプラス(仮)
「…………………え?」
しばらくの沈黙のあとの間抜けな声。
え?って、何よ。
こっちは恥ずかしくて泣きそうなのに。
「…も、もう1回っ!お願い!」
「嫌!もう言わないっ」
恥ずかしさのあまり
私は佐藤奏を涙目で睨む。
あぁ、本当に可愛くない女。
素直に好きって言えばいいのに。
でも私だって頑張ったんだから。
「好きって聞こえたんだけど、幻聴?」
「知らないっ!」
「好きって友達の好き?男としての好き?」
「知らないってば!」
1度はった意地は
もう貫き通すしかなくて。
「凛ちゃーん…」
目の前で佐藤奏があからさまにシュンとする。
あぁ、もう。もうっ!!
「テスト!」
「え?」
意を決して私は言う。
「テストが、終わったら、ちゃんと言うから…」
恥ずかしいよ。見ないでよ。
また涙が出てくる。
「だ、だから…その……」
「…なに?」
優しく聞いてくれる佐藤奏が。
熱っぽい目も、表情も、しぐさも。
私を好きだって言ってくれるから。
「…ま、待ってて、くれる…?」
精一杯の声を出してそう言った。