気まぐれ探偵はお嫌いですか?
招待状を入り口で見せると凱はスキップでもするのではないかという軽い足取りで船の中を歩いている。


「凱君、君も招待されていたのだね。」


「げっ……浅丘警部…。」


さっきまでの上機嫌は何処へやら、凱は目の前に立っている男を見て顔を強張らせている。


「ちゃんとスーツを着てきたのだね。」


「君に言われたからね。」


(ああ、この人が1時間も説教した警部か…。)


浅丘警部は、凱から私に目を移すと軽く会釈をした。


「はじめまして、お嬢さん。私は、『浅丘 友也』と言います。以後お見知りおきを。」


切れ長の金を帯びた瞳にびっしりときめた髪型は彼の性格を表しているようだった。
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