気まぐれ探偵はお嫌いですか?
「今、小説って…。」


私は、この男にはまだ小説を書くのは教えていない。


だが彼は、私が小説を書くのは当たり前のように普通に言ってきたのだ。


男はニッと笑うと得意気に言ってきた。


「君の右中指には、大きなペンだこがある。そして、それは絵を描く人とは違う形をしている。つまり、これくらい大きなペンだこがあり絵を描く人とは違う形のたこがあるのは小説家くらいだろう。記者とかならそこまで大きくならないしね。」


男が言い終わると私は男の人をジッと見た。


(この人、本当に探偵なんだ……。)


私は、手を挙げて男に見せたわけでもなく、下がったままなのに男の人は私の手を見ていたのだ。


その観察力は、ただ者ではない。

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