スターフィッシュ‼︎
「せっかくのライブだし、お前もちゃんと見られること意識しないとな」


セミロングのあたしの髪をくるくると巻きながら、ワックスをつけているようだ。

時々、王子の両手があたしの輪郭にすっと触れる。

それから、チークのブラシでふわっとあたしの頬を撫でた。


ううう。

ドキドキしてるのがバレませんよーに。


「……っ」


「よっしできた! さーライブハウス行くぞ」


カフェのガラスに映し出されたあたしは、

今日家を出てきた時と、全く別人になっていた。


「何かあたし、垢抜けた?」


そう言って、あたしがふと立ち止まると、


「ああ、まあまあイケてるんじゃね? 俺様の腕のおかげだけどな」


ワックスがつけられたあたしの頭をくしゃっと撫でて、王子がそう言った。

あああ、王子、あたしはあなたに付いていきますーー!
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