スターフィッシュ‼︎
「まあいいや、あたしたちは貴也様を見てればいーし」
「「だよね、あははははっ」」
大丈夫、ビビるなあたし。
『お前だったら俺の女ファン唸らせるほどの良い歌、歌えるはずだから』
その言葉を思い出し、チラっと右後ろの王子を見る。
すると、王子はベースを肩にかけながら、
「ビビんなよ!」と口パクであたしに言った。
おっし! やってやろーじゃないの!
自然とあたしの口元に笑みが浮かぶ。
良夫さんのバン、バン、というバスドラの音がライブハウス中に響く。
ゆーたも足元に置いている小さな機械(エフェクターって言うらしい)の調整が終わったようで、
ニヤリと得意げな目であたしたちと客席を見わたしていた。
さー始まるぞーー!
王子の手の合図で、フロアの音楽が止み、ステージが暗くなった。