スターフィッシュ‼︎
「お待たせ! ごめんね、待ったでしょ?」
カナタちゃんはうなだれたまま、さっきの席に座っていた。
テーブルにあるティラミスには手がつけられておらず、カップの紅茶も冷めているようだ。
学校の制服に着替え直したあたしは、カナタちゃんの正面に座った。
相変わらず店内は学生や親子連れでにぎわっていて、あたしたちの席だけが静まり返っていた。
「…………」
「カナタちゃん、どうしたの?」
長い睫毛をうつむかせたままのカナタちゃん。
再び沈黙が訪れる。
「……?」
あたしは優しい表情を作りながら、その姿を見つめ続けた。
すると、
「……美緒さん。あたし、実は貴也先輩のことが好きなんです」
と、カナタちゃんは消えそうな声でつぶやいた。