スターフィッシュ‼︎

すると、

「あの……ぼ、ぼぼぼくもチョコもらっちゃいました。お母さんと彼女以外にもらったのは生まれて初めてですっ!」

と、2月の寒い日なのに、良夫さんが汗だくだくでスタジオにやってきた。


「お、おめーもとうとう女ファンできたかー。……ん?」


王子の段ボールをさぐったゆーたの手が、一瞬止まる。


「……これ、やばくね? 名前も書いてねーし」


両手で取りだしたのは、まわりのチョコよりも一回り大きな箱。


箱についているメッセージカードには、

『貴也様、一生愛しています。いつもあなたのことばかり見ています。くだらないこんな世界で、貴也様だけが生きる意味です。私にとっての救世主様です』

と女の子らしい文字で綴られていた。


箱を開けると、出てきたのはホールのチョコレートケーキ。


「それ、下駄箱に入ってた」


頬杖をつきながら、王子はその箱を指差した。


『貴也様はあたしの救世主様なんです』


そう言って、ニコッと笑顔を見せた、カナタちゃんの姿を思い出す。

もしかしてカナタちゃんのかな……。
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