スターフィッシュ‼︎
「おおおお! 広い! すごーーい!」
改めてステージに立つと、これまで出たライブハウスとは違う雰囲気に包まれていた。
ステージは横に広く、いつもよりメンバーとの距離が遠い。
フロアも500人くらいは余裕で入るんじゃないか、というくらいの広さ。
そして、数々の大物アーティストがこのステージでライブをしてきたのか、と改めて思うと、ワクワクしてくる。
フロアの天井の傷は、某有名アーティストがインディーズ時代に勢いよくダイブしてできたものらしい。
ギターをアンプにつなぎ、あたしはステージの端ギリギリに立つ。
今、フロアでは前のバンドが審査員の皆さんと話をしているけど、
あたしにはぎゅうぎゅうに詰め込まれたお客さんの姿が見えていた。
大丈夫! やれる!
「おっし! ぶっ込んでいくべ!」
後ろから気合いの入ったゆーたの声が聞こえてくる。
「あーーー。何かもう泣きそうです! ここで演奏できるなんて」
良夫さんの嬉しそうな声も聞こえてきた。
「もちろんだ。おい、チビデブ!」
王子があたしを呼ぶ。
「わあああああ! 楽しいーーーー!」
演奏が始まっていないのに興奮しているあたしは、3人の方を振り返って叫んでいた。
すると、静かにー! とスタッフさんに制された。
まだ前のバンドのインタビューが終わっていなかったらしい。てへ。