スターフィッシュ‼︎



「あれ、ハセバンの長谷部さんじゃね?」


ゆーたがこっそりと王子に耳打ちをする。


審査員席の後ろ――フロアの壁際で

グラサンをかけたおかっぱ頭の男性がタバコを吸っていた。


「おおっ、本当だ。俺らラッキーかも」


王子が音量0でベースをベチベチ叩きながら、ニヤリと王子スマイルを浮かべる。


え? 長谷部さんって?


「本戦のゲスト審査委員ですよー。この青春スターダムの企画者の1人です!」


こそこそ声で良夫さんが教えてくれた。


「しかもハセバンっていったらこの前月9のドラマ主題歌歌ってたよな。は? お前知らないのか!?」


ごすっ、と王子のげんこつをくらう。


ええええええ!? そんな有名な人なんだーー! すごーい!


ちょうど前のバンドのインタビューが終了したらしく、審査員の1人が長谷部さんに挨拶をしに向かった。

長谷部さんは審査ではなく、地区決勝の様子をふらりと見に来ただけらしい。

< 305 / 434 >

この作品をシェア

pagetop