スターフィッシュ‼︎


目の前にはたくさんのお客さんの姿が見える。

拳を上げたり、手拍子をしたり、音に揺られたりで皆思い思いのスタイルで楽しんでくれている。


雪乃さんやヒラモト店長、エンジニアのカシワギさんや、リナにユイにカナタちゃん、ザ・クリントンズや写真部の皆。

あたしたちを応援してくれている人たちの姿も見えた。



『ゼロから始まる物語、僕は何にでもなれるんだ』


Bメロが終わり、サビに突入する。


良夫さんは正確なリズムを刻んでいるけど、

時々入るフィルイン(音と音の合間に入れる即興演奏)はいつもよりテンションが高く、楽しい気持ちが伝わってくる。


ゆーたはあたしの歌にハモリやコーラスを時々入れながら、

あたしのギター音と混ざりあうように、綺麗でセンチメンタルな和音のフレーズも入れてくる。


そして、王子は良夫さんとアイコンタクトを取りながら、

曲の骨格となる低音を指で操りながら、皆を揺さぶるグルーヴを作り上げる。



『足りないことやくだらないこと

気にしないで前へ進んでやるさ』


あたしもまだまだ足りないギターを懸命にかき鳴らし、思いのたけをお客さんにぶつけた。


はぁーー! 超気持ちいいっ!


いつかここのライブハウスでも

普通にライブができるようになりたいな。
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