スターフィッシュ‼︎
クラス替えはないけど、席替えはあったので、
ゆーたとは席が2つ離れてしまった。
「ゆーたぁ、今日スタジオ何時からだっけ?」
帰り仕度をしながら、ゆーたの席に近づく。
ゆーたも進路希望調査を書いているようだ。
「あー? 5時からだべや」
ゆーたはその紙を二つ折りにした後、
少し伸びた茶髪をいじりながら、あたしの方向を見た。
クラスメイトたちはだべっていたり、部活に行く準備をしたりで、
教室内は大小様々な足音と声が響き合っていた。
「……ゆーた?」
「腹減ったし、マック寄ってから行くべ~」
ゆーたは、あたしの肩に軽く手を置いてから、教室後ろに立てかけてあるギターケースのもとへ向かった。
あたしはその後ろ姿を目で追いかけていた。
『……もうすぐ高3だしな。今が一番ガンガンやれる時期だべ?』
地区決勝の時、ゆーたがつぶやいていた言葉。
あたしはずっと心に引っかかっていた。
その二つ折りにされた進路希望調査には、『就職希望』に○がついていたように見えた。