スターフィッシュ‼︎
「キャー貴也様ーーーー!!」
気がつくと、カナタちゃんの姿はあたしの目の前から消えていた。
ダッシュで王子の元へ向かっている。
「貴也様、本戦出場おめでとうございます! 絶対見に行きますね!」
「あ、ありがとう! 絶対良いライブするから楽しみにしててね」
突然の押しかけにもかかわらず、王子は相変わらずの王子対応だ。
まわりの貴ベイビーたちは、何こいつ的な目でカナタちゃんをにらんでいた。
「うわ、この子、貴也様を追っかけまわしてる子じゃね?」
「まじ? 最低ー。マナー守って欲しいよね」
貴ベイビー軍団のうち、派手目な女子たちから、
そんな声がひそひそと聞こえてきた。
ううっ、何かやばそうな空気。
「カナタちゃん、一緒にジュース買いに行こう!」
そう言って、あたしはカナタちゃんの手を引き、1階の自動販売機前に向かった。